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2017年9月 3日 (日)

なぜApple Watchは大ヒットとなれなかったか?

腕時計を再設計する、という立派な理想を掲げて登場したApple Watch。
もう既に2年経過しましたが、アップルの目論見とは違い、必ずしも成功したとは
まだ言えないと思います。

ご存じのように、初代モデルは一時期、在庫不足になったり、高額な商品を作ったり
した訳ですが、昨年の第二世代モデルは一転して高額モデルを廃止して、
防水機能などフィットネスに重視したモデルに方向転換しています。

そこで、なぜApple Watchは大ヒットになれなかったのか、実際に使ってみて
感じたことも含めながら考察したいと思います。

①ファッション性
腕時計は高級な物から低価格な物まで非常に多くの商品があります。
携帯電話からスマホの時代になり、時間を確認するだけなら、腕時計をしない人が
増えたとの報道もありました。
しかし、逆に高級ブランドなど、ステータスのため、見栄のため、また本当に
カッコ良いというファッション性を求めて、人は腕時計を購入します。

この腕時計は価格も様々、種類も豊富ですので、他人とカブる可能性が減ります。
ところが、Apple Watchの場合、初代モデルこそ沢山のモデルがありましたが
結局のところ、大きな違いは2点。
筐体(メイン部)の風防の材質、ボディの素材(ステンレスかアルミか)
リストバンドの違いだけです。

高いモデルでの差別化としては、高級なパッケージと高級はリストバンドで
差別化する、という戦略になりました。

しかし、本体のデザインに差が無いので、そこに価格差、デザインの差を
見出せません。

そこが腕時計という商品に求められるファッション性という点でアップルが
見誤ったという点でしょう。

ブランドということでエルメスなどのリストバンドを用意しましたがビジネス的に
成功したのか、疑問が残ります。

②駆動時間
腕時計の針を動かすには、光(ソーラーパワー)、電池、メカ(自動巻き)があります。
電池とソーラーのハイブリッドモデルもあるので、駆動時間は1年以上、電源が
持つ設計となっています。

ご存じの通り、Apple Watchは激しく使うと1日しかバッテリは持たないです。
バッテリは充電式です。

スマホもバッテリの持ちが悪いと携帯電話からの移行時期には散々けなされました。
しかし、バッテリ容量が増えたり、モバイルバッテリの普及などで結局スマホが
主流になりました。

使ってみてわかるのですが、バッテリが減っていっても、モバイルバッテリを繋げない
Apple Watchの心許ない気持ち。
また、非接触の充電方式ですが、充電時は腕から時計を外す必要があります。
時計は常時身に着ける物ですから、外して充電する、というのは本当に痛い仕様です。

バッテリ容量を増やすためのスペース確保をしようとすれば大型化しないといけない。
消費電力を下げるにはディスプレイ表示時間を短くして、省電力のICを使わないといけない。
そうなると、視認性は落ち、アプリの動作速度を上げられない。
矛盾した課題に次々ぶつかります。
そこが、難しいところです。

③性能、テクノロジーのジレンマ
スマホ同様に電子機器ですから、1年も経つと新しい製品が出てきて、前のモデルは
陳腐化します。
それを実証したのがApple Watch Series 2。
わずか1年足らずでチップの高性能化で速度はやや速くなりました。
また、防水性能も向上しました。

つまり、前のモデルの価値をアップル自身で棄損したわけです。
これは、ユーザにとって、投資価値が大きく下がることになります。
単なるデジタルデバイスの1つというセグメントになり、高級腕時計とは
カテゴライズが別のコンセプトの製品と言えます。

④ディスプレイオフ時の様子
これは、先の省電力化の代償として、ディスプレイがオフの時間が長いです。
スマホやタブレットの時には気づきませんでしたが、オフのディスプレイを
眺めることの寂しさは独特のものです。
単なるデジタル時計で常時表示してくれるディスプレイなら、まだいいのですが
一緒にいるほとんどの時間をオフした画面となる時計。

先の①のファッション性とも関連しますが、普通の時計なら常時何かを表現できる
のに、Apple Watchは他人から見ると真っ暗なディスプレイが付いた腕時計を
嵌めている姿に映ります。

⑤結局何か?
結局のところ、このApple Watchとは何でしょうか?
この製品は一言で言うと、非常に小さなiPad/iPhoneになりたかった腕時計、だと
思いました。

操作はメインがディスプレイとデジタルクラウン、サイドスイッチに依存します。
タッチパネル操作はiPad/iPhoneの操作に似ていて、スワイプなどの操作を
よく行う必要があります。

良くも悪くもスマホ、タブレットの方が普通の時計よりも近い操作になります。
普通の時計はせいぜい時間合わせの時にクラウンを回すくらいでしょう。
操作はほとんど無いに等しいです。

これは、時間から解放されるのが普通の時計だと言えます。
時計の操作の事に気をまわさない、バッテリの持ちの心配をしない、そういうものです。

Apple Watchは通知を受けたりとにかく何か操作したり、充電の心配をしたり
気を遣う必要のある製品です。

⑥結局単体では何もできない時計
次のモデルはLTE通信機能内蔵と言われています。
現在までのモデルは単体では外部インターネットとの接続ができないので
母艦であるiPhoneが無いと何もできない製品です。

手元にiPhoneが必要。
スマホなら何でもいいわけでなく、Android端末でなくiPhone5以降のモデルが必要。
ならば、情報はiPhoneだけで済む訳です。
となると、やっぱり購入したり、使ったりする必要性をあまり感じない人が多いんだろうな
と推測されます。
(あればあったで便利なんですけど、使わないとわからない。)

⑥では、どういう商品が欲しいか?
まずはベルト、リストバンドの種類を増やして欲しい。
正直、カスタマイズしようと思っても、やっぱり3rdベンダーの参入が難しい構造は
やめて、普通の時計と同じようなバンドが付く構造にすべきだと思います。
よくアマゾンなんかのレビューなどですぐに壊れたというベルト類がありますが、
アップルの得意な加工精度の厳しさが、純正以外のベルトを使うのに躊躇します。

次にもっと長い駆動時間を実現して欲しい。(本当に難しいですが。)
高速充電ができるように、無線充電じゃなくても逆にコネクタ接続でもいいのでは
ないかと思うくらいです。(防水のための機構は必要ですが。)

もう一度、何のために時計を再定義する必要があるのか、考えて欲しい。
当初考えていたファッションブランドとして、アパレルっぽいことを本気でやるなら
スマートウオッチの機能をもっと減らして、他社のアクティビティトラッカーとの
違いは何か、独自性について考えた方がいい気がします。

と、長くなりましたが、個人的にはガジェットとしてのApple Watchの完成度は
非常に高く、デジモノ好きな人間には満足度高い製品だと評価しています。
よくぞ、あの小さい筐体に凄い機能と綺麗なディスプレイ、タッチパネル、
フォースタッチセンサ、心拍センサを埋め込んだなぁと。

あれだけの性能であの値段って実はむしろ安いくらいで、高級時計よりも
正確な時間を確認する手段としては割安だと思います。

ただ、先にも書きましたが、高級腕時計はそれ自体が貴金属のように希少価値が
あり、社会的にもその価格、ブランドに金銭的価値を認めているというインフラが
出来上がっているのに対して、アップルの場合、歴史も無く、市場価値についても
古い物(ビンテージ)の方が価値がある、という製品じゃない
ところが悲しいところ
でしょう。

古い物に価値を残す、コレクターズアイテムになるには、iPodのように、
新型になるたびに形を変えるなどの破壊と創造が無いとダメかもしれません。
(2015年モデル、2016年モデルというふうにデザインが変わり続ける。。。?)

まあ、とにかく、久々に面白い製品だったので、製品開発が終了にならないことを
祈るばかりです。。。

では。

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